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盛岡地方裁判所 昭和52年(ワ)310号 判決

主文

一  被告は原告に対し金一、〇〇〇万三、一〇〇円およびこれに対する昭和五二年一〇月一九日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用はこれを三分し、その二を原告の、その余を被告の各負担とする。

四  この判決は原告の勝訴部分に限り、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求める裁判

一  原告

1  被告は原告に対し金二、七八〇万三、四六七円およびこれに対する昭和五二年一〇月一九日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行の宣言

二  被告

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  原告は次の交通事故(以下本件事故という。)により受傷した。

番号 項目 内容

(一) 発生日時 昭和五一年七月四日午後七時三〇分頃

(二) 発生地(現場) 岩手県二戸郡安代町字折壁三七番地のイ先国道二八二号線上の丁字型交差点上

(三) 加害車(被告車) 被告所有運転の農耕用大型特殊自動車(岩九九る一四一三号)(以下、トラクターともいう。)

(四) 被害車(原告車) 原告運転の自動二輪車(安代町あ五六九号)

(以下、バイクともいう。)

(五) 事故の態様 原告は被害車に乗り右国道を秋田(西)方面から盛岡(東)方面に走行して右現場に差しかかつたところ、右国道を対向して加害車が右折(北に曲がる)を開始し、原告車の進路に出た。右折をしようとする者は対向直進車の存否・動静に注意し安全を確認して道路中央に近づき、右折しなければならないのに、被告は直進してくる原告車に気づかず、或は気づいても直進車たる原告車を優先させることを怠り、漫然道路の中心を越えて低速で右折進行し、原告車の進路を妨害した。そのため加害車前部を被害車右側部に衝突させ、原告を転倒負傷せしめた。

(六) 負傷の内容 右開放性膝関節脱臼骨折、右膝内・外側副靭帯及び膜蓋靱帯断裂、足部切創

(七) 治療 (1) 入院 自昭和51・7・4至同51・12・23(一六二日)

(イ) 秋田県厚生農協連合会鹿角組合綜合病院

昭和51・7・4~51・7・9

(ロ) 秋田労災病院

昭和51・7・9~51・10・9

(ハ) 小坂鉱業所病院

昭和51・10・11~51・12・23

(2) 其後の通院加療 昭和五二年五月末まで

(八) 後遺症 右膝関節脱臼骨折による右膝屈曲障害等(自賠責認定第八級)、歩行困難、用便苦痛

2  被告の帰責事由

本件加害車は被告の所有農耕車でその営む農業に使用しているものであるから、被告は自動車損害賠償保障法三条の運行供用者責任を負う。

3  損害 金五、〇七三万六、五〇一円((一)ないし(七)の合計)

(一) 医療費(装具代等を含む)金三九万四、四一五円

(二) 入院雑費 金七万四、五〇〇円

一日金五〇〇円として、これに入院日数一四九日を乗じた金額。

(三) 交通費(通院費) 金六、一二〇円

自宅最寄の国鉄花輪線田山駅から病院最寄の大滝温泉駅まで列車往復運賃金六八〇円として、九回分。

(四) 付添費 金四万二、〇〇〇円

母親による付添看護二一日分。

一日金二、〇〇〇円として、これに右二一日を乗じた金額。

(五) 慰謝料 金六〇〇万円

入通院が長期に亘つたこと、後遺症等級が第八級であること、大学進学を諦めざるをえなかつたことなどを考慮すると、同金額が相当である。

(六) 逸失利益 金四、一七一万九、四六六円

(1) 原告は本件事故当時満一八歳(昭和三三年六月二四日生)で工業高校三年在学中の健康な男子であつた。原告は当時大学進学を希望していたが本件事故のため、同五二年三月予定どおり卒業したものの一年休んで同五三年専門学校(二年課程)に入学した。このように原告は短大入学の学力は十分持つていたと考えられる。したがつて、本件事故がなければ同五二年四月短大程度の学校に入学し同五四年四月からその卒業を前提にした就職が可能であつた。

(2) このように、原告は訴状送達の日の二年先の二一歳から四九年先の六七歳まで就労可能であり、その間の収入は、労働省昭和五二年賃金センサス第一巻第一表企業規模計高専短大卒の数額(決まつて支給する給与額金二〇万七、一〇〇〇円×一二か月+年間賞与等金八一万七、六〇〇円)に従うと、年間金三三〇万二、八〇〇円と目することができる。原告には前記第八級の後遺症があり、その労働能力喪失率は四五パーセント(労働基準監督局長通牒)と考えられるから、収入の減少は年間金一四八万六、二六〇円となる。

(3) 訴状送達の日の二年先から四九年先まで毎年右同額の損失があるとして、これにホフマン係数を適用して現価に直すと、四九年に対応する係数は二九・〇二二四であり、一年に対応する係数は〇・九五二三であり、右の差は二八・〇七〇一となるから、金一四八万六、二六〇円に右二八・〇七〇一を乗じ金四一七一万九、四六六円と算出される。

(七) 弁護士費用 金二五〇万円

4  損害の填補 金五七八万九、三二四円

自賠責保険金 金五七八万九、三二四円

(1) 傷害分 金七八万九、三二四円

(2) 後遺症分 金五〇四万円

5  差引損害額 金四、四九四万七、一七七円(3の損害額から4の填補額を差し引いた金額)

6  よつて、原告は被告に対し、損害賠償として、右5の金員の内金二、七八〇万三、四六七円とこれに対する不法行為の日の後である訴状送達の日の翌日たる昭和五二年一〇月一九日から完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する答弁

請求原因1(一)ないし(四)、(六)および(七)の事実、同2の事実、同4の損害填補額を認め、同1(五)の事実を否認し、同1(八)の事実および同3(一)ないし(四)および(七)の各損害項目は不知、同3(四)および(五)の各損害項目は争う。

三  抗弁

1  被告は、トラクターを運転し、国道二八二号線を盛岡方面から秋田方面に向けて時速二二キロメートル位で進行してきたが、事故現場の丁字路において県道瀬ノ沢線に右折しようと考え、丁字路の手前三五メートル位の地点で時速を一〇キロメートル位におとし、さらに、右側のウインカーをつけた。その後、さらに二五メートル位走行したところ、前方約一五〇メートルの地点を盛岡方面に向けて時速七〇キロメートル位の速度で対向してくる原告運転のバイクを発見したので、原告のバイクを通過させた後、右折しようと考え、丁字路のところで一時停止した。

2  一方、原告は前方を注意して運転していなかつたため、約二〇メートル手前で一時停止していたトラクターを発見し、あわてて急制動を施したが間にあわず、トラクターのフロントローダに積んでいた飼料入り紙袋に衝突した。

3  被告の運転していたトラクターのフロントローダが一部中央線をこえてはいたが、フロントローダの先端と国道の歩道部分の右端との間には二メートル五〇センチ以上の間かくがあつたのであるから、原告が普通の運転さえしていたら安全に通過しえたものであるから、被告には運行上の過失はなく、またトラクターには構造上の欠陥および機能障害もなかつた。

4  仮に、被告の免責の主張が認められないとしても、原告は前方を注視せず、かつ、高速度で道路中央部分を走行するなどの重過失があるので、過失相殺の主張をする。

四  抗弁に対する答弁

1  抗弁の事実および主張は全て争う。

2  請求原因1(五)の本件事故の態様において主張したとおり、被告の過失は著しいものがある一方、原告には過失はない。

第三証拠〔略〕

理由

一  請求原因1(一)ないし(四)、(六)および(七)の事実は当事者間に争いがない。

二  請求原因2の事実は当事者間に争いがないところ、右争いがない事実によれば、被告は自動車損害賠償保障法三条にいう運行供用者ということができる。

三  そこで、被告主張の同条における免責および過失相殺の各抗弁につき検討する。

前記当事者間に争いがない請求原因1(一)ないし(四)の事実に成立に争いのない乙第一ないし第五号証、撮影者・撮影時期・被写体につき争いのない甲第九号証の一ないし九および原被告の各本人尋問の結果(但し、原告につては第一回。後記措信しない部分を除く。)を総合すれば、以下の事実が認められる。即ち、被告は本件事故当時、農耕用大型特殊自動車(トラクター)を運転し、国道二八二号線を盛岡(東)方面から秋田(西)方面に向つて時速約二二キロメートルで走行して来たが、本件事故現場である右国道上の丁字型交差点において県道瀬ノ沢線方向に右折(北に曲る)しようと考え、速度を時速約一〇キロメートルに減速し、右交差点から約三五メートル手前の地点で右側の方向指示器を出し、さらに約二五メートル走行した地点で、右国道対向車線上の前方直線約一五〇メートルの地点を盛岡方面に向つて時速約四五キロメートル(制限速度時速四〇キロメートル)で対向直進して来る原告運転の自動二輪車(バイク)を発見したので、バイクを通過させた後右折しようと考え、そのまま中央線寄りを走行したうえ右交差点中央線付近で右折を開始し、その直後一時停止してバイクの通過を待つた。トラクターの右停止時の位置は、バケツト、フロントローダおよび前輪部分を右斜(約三〇度)前方にして、右バケツトおよびフロントローダの一部が中央線から約一メートル三五センチ程対向車線内にはみ出しており、対向車線の幅員は約三メートルであるから、右バケツト先端は対向車線のほぼ中央に位置し、かつ、右バケツト先端と対向車線側端との間隔(空間)は約一メートル六五センチであつた。また、当時トラクターのバケツトにはセメント袋大の飼料袋約一五袋がバケツト一杯に積まれており、走行中はバケツトを約二〇センチ上げた状態であつたから、積載された右飼料袋の上辺はトラクターの前照燈の高さとほぼ同じとなり、点燈された前照燈の照明に多少の支障を来たしていた。さらに、トラクターの前照燈および方向指示器の設置箇所はその本体部分であつて車体先端ないし側端ではなく、したがつて、バケツト、フロントローダーおよび車輪部分は夜間は視認しにくい状態であつた。一方、原告は自車線中央線寄りを走行していたが、前記交差点から約二〇メートル手前に至つて初めて、右交差点の自車線内のほぼ中央にはみ出して一時停止中のトラクターを発見したが、左側に転把して進路を変更するなどの避譲措置を取ることなく、直ちに急制動を施すも間に合わず、バイク前部をトラクターのバケツト右端に衝突させるに至つた。以上のとおりであり、右認定に反する原被告および原告法定代理人田畑秀夫ならびに同田畑キナの各本人尋問の結果(但し、原告につき第一回)はいずれも、前掲各証拠と彼此対照してたやすく措信し難く、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

右認定事実を総合勘案すれば、被告は、夜間(前掲乙第二号証によれば、本件事故現場は街路灯も月明りもなく暗かつたことが認められる。)、前認定のごとき、特殊な構造を持ち、かつ、バケツト一杯の積荷をした、視認しにくい状態の被告車の右折を開始し、被告車を中央線から約一メートル三五センチ程対向車線内に、即ち、対向車線のほぼ中央にはみ出して一時停止させることにより、原被告車間の前記視認距離および速度からいつて走行上優先する原告車の進行を妨害したものというべきであり、被告が本件事故につき無過失であるとは到底いえない。したがつて、被告主張の免責の抗弁は、その余の点を判断するまでもなく採用できない。しかしながら、原告においても、前認定のとおり、トラクターのバケツト先端と自車線側端との間隔(空間)は約一メートル六五センチであつたから、接触衝突することなく通過することが可能であつたにも拘らず、制限速度超過の速度で、しかも、自車線中央線寄りを走行し、かつ、トラクターの発見が遅れたこともあつて、転把・進路変更などの適切な避譲措置を取らなかつた点は、原告の過失というべきであり、また、その程度は小さくないといわざるをえず、その過失相殺の割合は五割とみるのが相当である。

四  原告の損害につき検討する。

1  医療費(装具代等を含む)

成立に争いのない甲第六、第一〇号証、第一二ないし第三〇号証、原告本人尋問の結果(第一、二回)および弁論の全趣旨によれば、本件事故による原告の受傷の治療のための秋田労災病院における医療費(装具代等を含む。)は金二六万八、三〇九円であることおよび小坂鉱業所病院における医療費は金一二万六、一〇六円であること(合計金三九万四、四一五円)ならびに右装具等は右治療のため必要であつたことが認められる。

2  入院雑費

原告が本件事故により右開放性膝関節脱臼骨折等の傷害を負い、前記各病院等において入院加療一六二日間(自昭和五一年七月四日至同年一二月二三日)を要したことは当事者間に争いがない(前記一)ところ、右傷害の部位程度、入院時期期間に照らすと、入院中の雑費として少なくとも一日当り金五〇〇円を要したものと推認することができる。したがつて、入院雑費合計額は金七万四、五〇〇円(金五〇〇円×〔右一六二日中、原告が請求する〕一四九日)となる。

3  交通費(通院費)

前掲甲第一三ないし第一八号証、第二五ないし第二七号証、成立に争いのない甲第三二、第三三号証および原告本人尋問の結果(第二回)によれば、原告は高校卒業後自宅から秋田労災病院に治療のため通院したがその年月日が明確な通院日は九日間(九回)であることおよび右通院のため自宅最寄の国鉄花輪線田山駅から同病院最寄の大滝温泉駅まで列車で往復し、その運賃は往復金六八〇円であることが認められ、右事実によれば、交通費(通院費)合計額は金六、一二〇円(金六八〇円×九回)となる。

4  付添費

原告法定代理人田畑キナの本人尋問の結果によれば、原告が鹿角組合病院に入院加療中の六日間および秋田労災病院に入院加療中の一五日間、原告の母親が付添看護をなしたことが認められるところ、前記当事者間に争いがない本件事故による原告の受傷の内容、部位、程度、入院時期期間(請求原因1(六)および(七))および右身分関係に鑑みれば、右付添看護は必要のものであり、かつ、一日当り金二、〇〇〇円をもつて相当と認めることができる。したがつて、付添費合計額は金四万二、〇〇〇円(金二、〇〇〇円×付添日数二一日)となる。

5  逸失利益

成立に争いのない甲第一号証および原告本人尋問の結果(第一回)によれば、原告(昭和三三年六月二四日生)は本件事故当時満一八歳で工業高校在学中の健康な男子であつたこと、原告は当時大学進学を希望していたが本件事故のため、同五二年三月予定どおり卒業したものの一年休んで翌五三年専門学校(二年課程)に入学したことが認められ、右認定に反する証拠はない。右事実によれば、原告は短大入学の学力を持つていたことおよび本件事故がなければ同五二年四月短大程度の学校に入学し同五四年四月からその卒業を前提にした就職が可能であつたことが推認される。とすれば、原告は二一歳から六七歳までの四六年間就労可能と認めるのが相当である。そして、成立に争いのない甲第三一号証の労働省昭和五二年賃金センサス第一巻第一表「年齢階級別きまつて支給する現金給与額等及び年間賞与額等」によれば、労働省の統計調査による鉱業・建設業・製造業等九大産業に属する労働者数一〇人以上の事業所における高専・短大卒労働者の、同年におけるきまつて支給する現金給与額は平均金二〇万七、一〇〇円、年間賞与等の額は平均金八一万七、六〇〇円であることが認められるから、前記就労可能期間における平均年収は金三三〇万二、八〇〇円(金二〇万七、一〇〇円×一二か月+金八一万七、六〇〇円)とみるのが相当と考えられる。

また、成立に争いのない甲第六、第七号証および原告本人尋問の結果(第一回)によれば、原告は前記2のとおり入院加療したが、完全に回復することができず、昭和五二年三月二二日右膝屈曲障害および右膝動揺関節(常時固定装具の装着が絶対必要)の後遺障害が固定したことならびに右後遺障害は自賠法施行令別表の後遺障害等級表第八級に該当するものと認定されたことが認められ、右認定に反する証拠はない。

ところで、右等級第六級の後遺障害の労働能力喪失率は、昭和三二年七月二日労働基準監督局長通牒「労働能力喪失率表」によれば、四五パーセントとされているのであるが、原告本人尋問の結果第一回によれば、原告は現在東京電子専門学校に在学し、卒業後は技師として医学電子関係の職に就く可能性が大きいが、その場合右膝の前記後遺障害は右職業における原告の労働能力をさほど減殺させるものではないと認められるところ、右のごとき職業選択による後遺障害克服の可能性を勘案すれば、前記労働可能期間を通じての原告の労働能力喪失率は三〇パーセントと評価するのが相当である。

そこで、右各事項を基礎とし、かつ、本件における訴状送達の日(昭和五二年一〇月一八日)の一年五か月先から四九年先まで毎年一定額の逸失利益があるものとして、ホフマン係数を適用(当裁判所は中間利息控除の算式についてはホフマン式計算法が不合理とはいえないので同式を適用するのが相当と思料する。)のうえ逸失利益の現在価額を算出すると金二、三二四万九、〇六九円(金三三〇万二、八〇〇円×三〇パーセント×二三・四六四〔四九年に対応するホフマン係数二四・四一六マイナス一年に対応する同係数〇・九五二〕。少数点第四位以下切捨。円未満切捨)となるから、右金額を逸失利益額と認めるのが相当である。

6  慰藉料

前記三において認定した本件事故の態様、前記当事者間に争いがない本件事故による原告の受傷の内容、部位、程度、入通院期間、右5において認定した後遺障害の内容、部位、程度、継続期間、さらに、原告本人尋問の結果(第一、二回)により認められる、原告は右受傷および後遺障害によりその希望する大学進学を断念せざるをえなかつたこと、生活上の種々の不便および装具装着等を総合斟酌すれば、原告の右受傷および入通院ならびに後遺障害による精神的肉体的苦痛に対する慰藉料は金六〇〇万円を相当と認める。

五  右四1ないし6の各項目の金額合計金二、九七六万六、一〇四円はいずれも本件事故と相当因果関係の範囲内にある損害額であること明らかである。そこで、右損害額につき前記三に認定判断した過失相殺割合五割を適用すると、原告の本件事故による損害額は金一、四八八万三、〇五二円(円未満切捨)である。そして、右の損害の填補として原告が合計金五七八万九、三二四円の弁済を受けたこと(請求原因4の事実)は当事者間に争いがないから、未だ填補されない損害額は金九〇九万三、七二八円となる。なお、弁護士費用については、右損害額(後記六のとおり認容額でもある。)の一〇パーセントが相当と考えられるので金九〇万九、三七二円(円未満切捨)と算出され、右金額は本件事故による損害額とみなしうる。

六  よつて、原告の被告に対する本訴請求は、右金九〇九万三、七二八円と金九〇万九、三七二円との合計金一、〇〇〇万三、一〇〇円およびこれに対する不法行為の日の後である訴状送達の日の翌日たる昭和五二年一〇月一九日(記録上明らかである。)から完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余の請求は失当として棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条、仮執行の宣言につき同法一九六条を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 樋口直)

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